不幸なこども

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日曜日、撮り溜めてたアニメをぜんぶ見る。アマゾンから届いた漫画をぜんぶ読む。少し前なら考えられなかった。アニメを見ることや、漫画を読むこと、1日でこんなに多くの、芸術、みたいなものを、吸い込むこと。10代の頃は映画一本で精一杯だった。デッキにDVDを入れるのにすごく覚悟が必要だった。なぜかその前に風呂に入ったりして、とにかく、特別なことだったのだ、なんらかのエンターテインメントみたいなものに触れることが。縛られて生きていて、無意識の習慣みたいなものに気付こうともしなかった。朝ごはんは抜いちゃいけないし、夜はお風呂に入る。学校は行かなきゃ死ぬし、帰りは遅くなっちゃいけない、平日にはイベントがあってはいけない。けど今は違う、大人になって、自由になった、はず、だよな、と思うけどやっぱり忘れる。断絶がひどいのですぐ平日とか休日とか言ってしまう。休日は人間に戻れる。朝は眠って、1食目からカップラーメンを開けて、アイスは1日に何度食べてもいい、夜はその日のうちに寝なくてもいい。生活をサボり、現実のことなんて1ミリも考えていないのに、堕落したほうが生きた心地がするのはどうしてだろう。平日は死にたくなることのほうが多い。10代の頃もつらかったけど、20代になってもつらい。懊悩の種類が変わって、全体量として減ることはあんまりない。ふと我に返って、「こわいよね」、よくそういうはなしになる。学生時代の友人と会って生々しいはなしをしたりする。学生に戻りたいなあ、っていうよりは今よりマシなところならどこでもいい。こんなふうに意志もなく週末を繰り返してたらいつのまにかババアになっててさあ、精神年齢が低いまま芸能人に恋してたりすんのかな、吐きそう。楽しいときは最高というよりもただIQが下がっているだけだし、つまんないときは死にたいというよりも生きている甲斐がない。これが下手すればあと60年くらい。遠すぎる。小説、漫画、アニメ、演劇、多くの物語を通り抜けるたびにそのぶん転生した気になって、そんなのは空想だ、わかってるよ、わかってるけどさ。あつい浴槽のなかで、無意識に漏れ出す鼻歌が、夢みるようなものだったとき、喉が凍えて、歌が止まって、かなしい顔になる。