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悪夢ばかり見て夜が明けた。朝もひたすら雑に暮らし、誰でもいいから会いたいとインターネットに書き、雨が降り、風が吹き、それから人と会い、演劇を観に行きました。
暗い暗い劇場から外へ出ると、それまでの嵐を引きずりながらも無理やり晴れましたみたいな天気になっていた。ざあっと通り過ぎる風に、なにか目に見えないものが通ったみたいに思えて振り向いてしまう。誰もいない、ただ黄色い陽の光が眩しくて目を細める。ひとりになると、ほんとうにひとりが寂しいものだとわかる。街中で、もう暗い顔もできなくなりました。新幹線の窓を飛んでく、いくつもの生活、それらひとつひとつを思うとたまらなくなる。そうしようと思えばいつでもできたはずなんです。でもしなかった。いろんな理由があって。いろんな理由が。
家に帰ってもまだひたすらきょう観た舞台のことを考えていた。片手間に夕飯を食べ、アニメを見て、風呂に入り、シャツにアイロンをかけているとき、ふと、生活のことを思い出して泣いちゃった。あしたは月曜日。そんなのたった2日の休日で忘れられるのに。時間は諦めを癒してしまう。日常は眠ったようにやさしくなっていく。いまわたしが、この街から出られなくて、まだまだ不安定で、決まった未来もなくて、誰かに会いたくて夜を歩き回るみたいなそんな日常はとうの昔に失っていたことに気付いた。電車の空席に座れない。目の前で鳴っている電話に出られない。わたしの不安はやさしさのかたちをしているが、それは自分のためであり、自己犠牲ではないのかも。本来のやさしさというのは勿論そんなものではないけれど。ほんとうに居場所がないから逃げてばかりいる。本屋にいるときがいちばんうれしい。