3年後のきみへ

きみの声が、折りたたまれたことばをひらくこと、ヘッドフォンの暗闇にだけ本音があらわれることに、あまりにも忙しない季節のなかで、人はいつまでも気づけずにいる。

2千年後、とか、世界が変わるのってたぶんそのくらいで、3年。急展開とかあるわけないし、きみに期待なんてしていない。
ふがいない日常を何度も死ぬほど繰り返してもどこにも実感なんてなくて、確かなのは「いま」ここだけだってこと、その一瞬ずつの延長線上に奇跡があって、掴んだ、でも次の瞬間、きみの声はもう、そこにはない。
幻のような実感。その一瞬について。人は語るすべを知らないまま、いつかくる死にまきこまれて、眠る。朝がくればわたしは空っぽ、1秒、また1秒。なかったことにされてしまう。けどそんなの永遠にゆるせないから、ことばからこぼれてしまったものを、できるだけ、野生的に、すくいたい。鼓膜で光ることばのきらめきを、迷子にならないように縫い付けたノド、その傷口からながれる濁流が海へひらけるとき、かけがえのない実感を、きみの頰に告げたい。

祈りのような手紙しか、書けないね。それでもここに嘘はないから、2020年、虚栄のような街で、きみだけはほんとうでいてください。

 

草々